HANDS
どれくらい走っていただろう。
「お前さぁ……」
溜め息混じりに呟く声が聞こえた。
「いつまで寝たフリしてんだよ」
頭を小突かれて、渋々目を開ける。
「何よぉ。別にフリしてたわけじゃないもん。
ん、あれ?どこ行くの?」
車は、思っていたのと全然違う道で信号待ちをしていた。
「お前んち。帰るんだろ?」
「え、やだ!帰りたくない!」
「はぁ?」
明らかに不機嫌な表情でこっちを見ている。
「あ、青になったよ。
ねぇ、リュウんち泊めて?」
上目遣いで見つめてみたけど、一瞬で前を向いてしまった。
「あ?なんでだよ」
アクセルを踏み込みながら、嫌そうに答えてくる。
「だって……一人で寝るの寂しいんだもん」