HANDS

しゅん、と下を向くと鼻で笑われた。

「子どもかよ」

「子どもだもん。まだハタチなってないし」
言い返すと、ああ、と納得したように呟いて大きくハンドルを切った。


そしてまた無言のまま車を走らせる。

コンビニに寄ってからリュウの家に着いた。


「虎次郎~ただいまぁ~」

にゃあにゃあ鳴きながら駆け寄ってきた虎次郎を抱き上げる。

「ここ俺んちなんだけど?」

キャットフードをお皿に入れているリュウが冷静に突っ込む。

「いいじゃん、別に」
めちゃくちゃお腹が空いていたらしく、虎次郎を床に下ろすとお皿にダッシュして行った。

まさに猫まっしぐら。
カリカリと音が響いてくる。

リュウは隣のお皿に水を入れている。

あたしは勝手に部屋に入って、テーブルの前に座った。

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