HANDS

「え……」

思わず息を飲んだ。

真剣すぎる表情から目が離せない。
やっぱ、男前だなぁー……。
髪も目も、真っ黒で綺麗――。


じゃなくて!

あたし、もしかしてこのまま……


「ばーか。
なに妄想してんだよ」

意地悪な笑みを浮かべて、また頭を小突かれた。

「はっ!?何が!」

「虎、洗うから。手伝えよ」


あ、なんだ。
そういうことね。
ちょっと焦っちゃったじゃん。

ムカつく…!

軽く殴ってやりたい衝動を抑えて、浴室に向かうリュウのあとに続く。

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