HANDS
絡みつくようなドラゴンからどうにか逃れてベッドを下りた。
洗面所へ向かうあたしのあとを虎次郎がついてくる。
「ついて来られても、あたしはゴハンあげる権限ないんだよー」
それでも虎次郎はにゃあーと長い声で鳴いている。
リュウが起きるまで待ってくださーい。
勘でリモコンを手にして電源ボタンを押すと、テレビがついた。
おし。
マスカラを塗っていると、リュウがむくっと起き上がった。
「あ、おはよー」
「あー。お前居たんだっけ」
あくびをしながら、ベッドから見下ろしてくる。
「ねえ、ユリってダレ?」
「……は?」
寝起きのかすれた声が、不機嫌さをさらに際立たせている。
怖。