HANDS
「寝言で『行くな、ユリ』って」
「気のせいだろ」
吐き捨てるように言って、またゴロンと横になった。
「言ってたってば」
「うるせーよ」
こっちに背中を向けたままぼそっと言われると、それ以上追求できなくなった。
「今日は仕事は?」
「休み。
お前の学校は?」
リュウが寝返りを打ってこっちを向くと、虎次郎がゴハンをねだりにベッドに飛び乗って行った。
「んー…昼からだったかな」
ふーん、と言って目を閉じて、虎次郎を撫でている。
相変わらずゴハンをねだる鳴き声にイラついたのか、やっと起き上がった。
「虎もうるせーよ」