悪女の秘密




「…悪女、の噂はさ俺も知ってたんだ。」




悪女、という言葉を少し言いにくそうにしたのはきっと雄大なりの優しさ。



あたしは全然気にしないのに…



そういうところも好きだなー…


なんて。




「莉子ちゃんと初めてここで会った時、ピンときたんだよね。この子かなって。」



懐かしそうに微笑む雄大にあたしの気持ちも少し温まるような感覚。


つい最近の話なのになんだかあたしまで懐かしい。




「真っ黒でサラサラの髪の毛も強気な目も全部が綺麗だったんだ。」



あたしは不意に頭をくしゃっと撫でられ、咄嗟に俯いてしまった。



「最初は言葉通り悪女なのかな?って思ったけど、言動がどこかよそよそしいし、顔近づければ真っ赤になるし。」



ほら、こんな風にね。


そう加えてあたしに顔を近づける雄大。


途端真っ赤になるのが自分でも分かった。




「そういうところに…惹かれたのかな?」



顔を離した雄大をそのまま目で追ったら優しく微笑まれた。




惹かれたって…


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