恋愛上等!~不良な彼氏~
体育館に入るともう満席で、立って見ている人もいるほど大勢の人がいた。
既に劇は始まっている。
舞台では、私の可愛い由奈が、性悪なお姉さんたちにいじめられていた。
ひ、酷い!
「由奈!…くそっ!私が助けて…」
「待て待て。芝居だから」
分かってるけど、由奈が!
律は今にも舞台に上がりそうだった私を力ずくで止め、黙らせた。
そうこうしている間に場面は変わり、舞踏会のシーンで由奈が綺麗なドレスを着ている。
「はぁ、萌えー…」
「…確かに」
律と二人して由奈のドレスアップに夢中だった。
もうホントのお姫様みたい。
舞踏会ってことは、もうそろそろ登場かな?
あの!王子様がッ!
瞬間、舞台は暗くなり、スポットライトが一人を照らした。
「……」
衣装合わせの時と同じ、マントまで付いた王子様の服で奏斗が登場した。
「ぷくくッ!」
奏斗が、奏斗が劇に出てるぅ!
ははっ、これはみんなの笑い者に…
…あれ?
奏斗の登場に客席がシーンと静かになった。
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