恋愛上等!~不良な彼氏~
─ドサッ
「今日も楽勝だったな、小夏」
切れた唇の端を舌でペロッと舐めると、ニッと笑って私を見た。
「あぁ、椿」
私も乱れた髪を直しながら、地面に倒れている女どもを見下ろした。
藍色のショートカット、少しつり上がった目をして私の隣で笑っているのは
私の幼なじみであり、親友の
椿(ツバキ)。
小学校からの親友で、お互いの事を理解し合っているし、信用もしている。
周りの友達よりも信頼出来るのは、この椿だけだ。
「しっかし、こんなにも弱い奴らだったとは。…なめられたもんだね、あたし達も」
椿はしゃがみ込み、地面に倒れている赤髪女の髪を持ち上げた。
たった今、私と椿は仲間と一緒に、この赤髪女が率いるグループと派手な喧嘩をしていた。
そしてご覧の通り、勝者は私たち。
まぁこれも当たり前のことだけど。
しばらくの間、椿はジッと女を見ていたが、いきなり顔を上げた。
ん?何かひらめいたのか…?
「よしッ!帰ってパァーッといくかッ!」
椿は女の髪をバッと離し立ち上がると、私たちに振り返りニカッと笑った。
「…は?」
私の後ろにいる奴らは椿の言葉に賛同すると、早々にその場を立ち去って行った。
…ッて、待て待て!
お、お前ら、たった今何してたんだ?
喧嘩してたんだろ?
怪我もしてるよなァ?
……
何でそんなに元気なんだよッ!!
.