恋愛上等!~不良な彼氏~



「お前ら、本当に卑劣な奴らだな。これで弱み握ったつもりか?」



黙り込んだ私の横で、椿は一気にまくし立てガンを飛ばした。



椿…



「ハッ!実際そーだろ?この女のことだとすぐに飛んで来る」


鼻で笑い、私たちをバカにしてくる。



…許せない。



「この前の落とし前つけてやろーじゃん」



…絶対に許さねェエ!


私は力強く拳を握り、ギッと赤髪女を睨んだ。




「ア゙ァァーーッ!!」



私は叫びながら赤髪女に殴り込み、それが合図かのように椿たちも参戦した。



絶対に、絶っ対に…!




────────
────…



「はぁ…はぁ…」


私は息を整えながら、切れた口の端を拭った。


…終わった。


地面には赤髪女の率いる奴らが伸びている。


ったく、一度負けてんだから諦めろよ。


そして私は、フラつく足で美沙のもとへ向かった。


「美沙……」


「…小夏さん」



顔を上げた美沙に、私は頭を下げ謝った。



「ごめん。ホントにごめん…」



こんな目に遭わせてしまったのは私のせいだ。


許してくれないのは分かっているけど、私はずっと頭を下げていた。



「小夏さん、私は…」


「家まで送る」



今は取りあえず、この場から美沙を遠ざけないと。


私は椿に後を任せて、美沙を連れその場を去った。



美沙を送る途中に一言も会話はなく、私も美沙も、ただ無言で歩いていた。



ひたすら美沙に謝り、家に入っていくのを見届けた私は、歯を食いしばりながらたまり場へと向かった。



< 251 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop