恋愛上等!~不良な彼氏~



「本物です!」


「…はッ!?」



ほ、ホントに?


私は目をゴシゴシこすり、頬も摘んだ。


うん、痛い。本当だ。



「でも…何で?」



私の前に現れるなんて、美沙はもう二度と私に会いたくないって思ったんじゃ…



「私、小夏さんにお話したいことがあるんです」



美沙は私の隣にしゃがみ込み、私に顔を向けた。



顔には絆創膏が貼られ、小さい傷もある。


あぁ、可愛い美沙の顔が。



「本当はもっと早く伝えたかったんですけど、来るのが遅くなってしまいました」


美沙は真剣な面持ちで言った。


もう会わないって言いにきたのか?


だったら私は…



「小夏さん、私…


アメリカに行くんです」


「……え」



何だって?私は一瞬頭が真っ白になった。



まさか、不良がいるこんな危険な場所にはいられないってことで?



「あ!これは前から決まってたことなんです」



美沙は「この前と関係ありません」と慌てて言った。



「高校に入って直ぐに親から言われたんです。夏休み前にはアメリカに行くって」



美沙は目を伏せながら言葉を続けた。



「私、この場所で少しでも多くの思い出が作りたかったんです。

…だからあの日、深夜に歩き回ってたんです」



美沙は私に顔を向け、にこっと笑った。




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