Cherry


「じゃ作りますか」


みーくんの家のキッチンで2人並んで作る



「私1人で作るよ?みーくん仕事で疲れてるんだから、ゆっくりしててよ」



みーくんはニンジンの皮を剥きながら



「いや、2人で作った方が楽しいし……なんだか、懐かしいし…」



「懐かしい?」



「姫は覚えてない?姫が…小5かな、オレが大学生で、おじさんとおばさんが…一泊で出かけて姫と2人で留守番したの」



小5……


あっ!



「夏休みの時だ!お父さんとお母さんがお世話になった人のお葬式で遠くに行った時……」



みーくんが家に泊まって私と一緒に留守番したんだ



「その時も、オレ達こうやってカレー作ったよな」



「そうだね」



ホントに懐かしいなぁ



「……あの時……」


みーくんが遠くを見るような目でポツリと つぶやいた



「あの時なぁに?」


みーくんが少し悲し気な笑顔で



「何でもないよ……」



って言った



あの時…何かあったかな?


でも、なんだか聞けなかった



みーくんが聞かれたく なさそうだったから



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