Cherry
嵐の夜に
~in midori's mind~
【6年前】
AM8:30
よく晴れた暑い夏の朝
姫の家の前に立つ
昨夜遅く大学の友達から電話があった
――明日のバスケの練習試合、助っ人で入ってくれよ――
今日は姫のバレーボール同好会の試合観てやる約束したのに
あ~あ
あのワガママ姫…怒るだろうなぁ
重い気分でインターホンを鳴らす
ドアが開いて
おばさんが出た
「みーくん、おはよう」
「おはよ……」
オレが挨拶を終わる前に
「絶対いやぁ~っ」
遠くから姫の大声が聞こえる
「…あ、みーくん、ごめんね。朝から南がうるさくて」
おばさんが苦笑いする
姫の泣き声が玄関まで聞こえる
そういえば土曜日で朝早いのに
おばさんは余所行きな格好だ
「何かあったの?」
オレが聞くと
おばさんは少し困った表情で
「……実はね……」
そう話しを切り出した