Cherry
「だめ」
オレが言うと泣きそうな顔で
「どうして?」
そう姫が言う
「なんでって………」
男と女だから
そんな事言っても
姫には理解できないか
「とにかく。眠れないなら眠れるまで そばにいるから」
オレは姫の肩を優しくつかんで
なだめる ように言った
「イヤだよ。眠ったらいなくなっちゃう」
姫が悲しそうに言う
そして
ギュッ
苦しいくらいの力で
姫がオレに抱きついて
「一緒に寝ないなら離れないから」
そう言った
「ええっ」
それは困ったな
ぎゅうう……
姫は腕に力を入れて
オレは苦しい……
「わかりました。お姫さま」
まぁ。大丈夫だろう
オレと姫だし
……でも
何だろう
すごい胸の奥で
ざわざわ
何かが揺れる
そんな気がした