Cherry
みーくんだ
本当にみーくんだ
どうしよう
手が震える………
「それじゃ……」
そう言って
みーくんは通りすぎた
白衣の胸ポケットに
私が28歳の誕生日にあげた
安物の万年筆があった
…………みーくん
「なになに?南ちゃん、めちゃくちゃ意識してた」
里奈ちゃんが私をからかう
「違うよ~」
私が否定して
「あ、遅れちゃう。行こう」
里奈ちゃんと私は歩き出す
そんな私の後ろ姿を
「…………姫」
そう呟いて
みーくんが遠くから
見つめていた事を
知らずに………