Cherry



「じゃあ今も鈴木先生ってフリーですか?」



里奈ちゃんが聞くと



「あ~、でも………ねぇ?」



「ああ。アレ?」



先輩達が顔を見合せる



え?アレって何?



もしかして女がいるの…?



私が不安になると




「万年筆の女でしょう?」



先輩が言う



「万年筆の女?」



里奈ちゃんが聞くと



「私、実際見たんだよね~」



「私も見た」



先輩達が口々に言う



「え~、何ですか?」



里奈ちゃんが
しびれを切らして言うと



「たまに人気のない場所で鈴木先生がこう…万年筆をながめてね……」



先輩はボールペンを持って再現する



「それは、何とも言いがたい切ない目をして万年筆を見つめて………」



ドキッ………


万年筆って
私がプレゼントした……



「そのまま、ゆっくり唇に近づけて…万年筆にキスをするの」




みーくんが………



あの万年筆に………



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