夢からなるキミへ
そして僕とミズキはその後、二人で買い物の続きを済まし、スーパーを出た。

僕の部屋に帰る途中にある丘の上を歩いていると、急にミズキは立ち止まった。

『ケイゴ、見て見て!!』

ミズキは丘の上から街の方を見渡していた。

『どうかしました?』

『ほら、夕日だよ…すっごい綺麗』

ミズキは街に浮かぶ大きなオレンジ色の夕日を見て感動していた。

『本当ですね…』

僕は、夕日よりミズキのが綺麗だよって言おうとしたけど、何だか照れ臭くて言えなかった。

『夕日なんて久しぶりに見た気がするな…うん?ミズキさん?』

僕がふと夕日からミズキに目を移すと、ミズキは涙を零していた。

『ど、どうしたんですか?』

僕はミズキの涙を見て戸惑った。

『こうして、何気ない一日を送れて…こうしてケイゴとこんな夕日を見れて…あたし凄く幸せだなって思った。生きてて良かったなって心の底から思ったら、涙が出ちゃった』

ミズキは笑顔で涙を拭っていた。
< 40 / 92 >

この作品をシェア

pagetop