夢からなるキミへ
『それにケイゴ、自分の体の事だもん。あたしにだって、過労が原因じゃないことくらいわかるわ。ケイゴ、お願いだから教えて?』

ミズキは僕の目をじっと見つめて離さなかった。

この時の僕には、ただ沈黙という答えしか見つからなかった。

『…ごめんね、ケイゴ。あたし、ケイゴの事困らしちゃってるね…』

ミズキは黙りこくる僕から目をはずし、再び外を見つめた。

『あっ、雨降って来たよ』

ミズキは何もなかったかの用に話を変えようとしていた。

僕はミズキに病状を黙っているのが、凄く辛かった。

『ミズキさん…本当の事を言います』

僕はやっぱりミズキに嘘をつくなんて出来なくて、ミズキのために病状を伝えようと決心した。

『実はミズキさんの…ミズキさんの胃を中心に…いたる場所に悪性の腫瘍が転移してるらしいんです…』

僕が重い口調でそう言ったが、ミズキはただ降りしきる雨を見つめていた。
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