夢からなるキミへ
『ミズキさん!!』

ミズキはその場を離れようとはしなかった。

『ねぇ、ケイゴ。あたし…もうこの景色を見ることなんて…出来ないのよね?』

『何言ってるんですか!!きっと…きっとまた、見れますよ。ううん、きっと二人で見ましょう』

『ねぇ、ケイゴ。どうして幸せが来るのは遅いのに…幸せが終わるのは早いんだろうね…』

そのミズキの言葉に、僕は何も返す言葉が見つからなかった。

『ケイゴ…あたし本当に助からないのかな?死んじゃうの?…死ぬってどんなんなんだろう…。怖いよ…あたし…死にたくないよ…』

ミズキは涙を流し、ミズキの体は震えていた。

僕には雨に濡れてびしょ濡れになり、冷たくなったミズキをぎゅっと抱きしめる事しか出来なかった。

『ケイゴ…ずっとケイゴと一緒にいたいよ…』

僕にはその言葉が凄く辛かった。

神様…もしあなたが本当にいるのなら、ミズキの病気を治して下さい。

僕とミズキの雨に濡れた心に虹をかけて下さい。

僕はミズキを抱きしめながら、ただそう願ったのだった。
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