夢からなるキミへ
リュウゴさんの思いが僕には十分伝わったけど、どうしても最後にもう一度だけ…もう一度だけミズキにリュウゴさんを会わしてやりたくて、僕は諦めずに頼み込んだ。

『すまない、帰ってくれ。ケイゴ…お前の気持ちは俺にも痛いくらい伝わった。好きな人の為にこんな必死になれるなんて、凄いよ。俺にはそんな真似できないよ、きっと』

リュウゴさんは頭を下げる僕の肩を軽く叩いた。

『ケイゴ、俺はミズキに会えないけど…ミズキに一言ごめんなって言っといてくれ』

リュウゴさんはそう言って、必死に頼み込んだ僕を残し立ち去ってしまった。

もう僕には立ち去るリュウゴさんを、じっと見届ける事しか出来なかった。

『僕はミズキさんの、何も力になれないのかよ!!クソォォォー!!』

僕はミズキのために何も出来ない自分を責めた。

そして僕はただ呆然としながら、日が沈んだ街をさ迷い歩いた。

『ケイゴ?』

さ迷い歩く僕に誰かが声をかけた。
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