夢からなるキミへ

*サンタクロースになれなくて*

白い雪が世界を包み始める頃、夜空ではシャンシャン鈴の音がこだましていた。

この日、仕事を終えた僕はクリスマスケーキを片手に、ミズキの待つ病院へと急いでいた。

ケーキ屋から病院に向かう途中の歩道橋で、僕は置き去りにしてあるギターに気付いた。

『こんな寒い中、ストリートで歌ってる人がいるんだ…』

僕はギターケースの上に、さっき買ったばかりのホットの缶コーヒーと、ケーキ屋で貰った“Merry X'mas”と書かれたカードに“頑張れ”と書き置き、その場を離れ病院へと急いだ。

僕がミズキの待つ病室に到着すると、ミズキはベットに寝転びながら窓の外を見ていた。

『ミズキさん、メリークリスマス』

僕は笑顔で言った。

『うん、メリークリスマス。外は雪が降ってるんだね』

ミズキも笑顔で言った。

『はい、クリスマスケーキと雪だるま』

僕はかき集めて作った小さな雪だるまをミズキに見せた。
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