夢からなるキミへ
僕はミズキを車イスに乗せ、廊下に誰もいないのを確認し、誰にも見つからないように、ミズキを乗せた車イスを押し病院を抜け出した。

僕は病院を出てすぐにタクシーを止め、ミズキを抱き抱えてタクシーに乗せ、冬の夜の海へと向かった。

タクシーの中でミズキはずっとしんどそうで、僕の肩に頭をもたれかけていた。

そして海につくと、僕はまたミズキを抱き抱えて降ろし、車イスに乗せた。

『わぁー…海だー』

海を見たミズキは凄く喜んでいて、体調も少しマシになったみたいだった。

『ケイゴ…もっと近くに行きたい』

『よし、任して下さい』

僕はミズキをお姫様抱っこし、波打ち際まで歩き、ミズキを砂浜に座らせた。

僕もミズキの隣に座った。

『寒くないですか?』

僕はそう言って、僕の着ているコートをミズキの肩にそっとかけた。

『えっ!?ケイゴが風邪ひいちゃうよ』

ミズキは僕のコートを返し、僕の肩にかけた。
< 70 / 92 >

この作品をシェア

pagetop