夢からなるキミへ
ミズキと夢で会えるようになってから僕は、今まで以上に仕事を頑張れた。

きっと夢でも君に会えるから…その思いが僕を頑張らせてくれていたんだ。

そして僕は毎晩君に会うたび、夢からなる君をどんどん好きになった。

毎晩君に会えるのが楽しみで…君の笑顔が見たくって…。

だけどいつしか僕は、心のどこかで不安を感じていた。

また君が…ミズキがいなくなる日が来るんじゃないかって…。

一度君を失くした時の、あの悲しみが僕の胸によみがえってくる。

それ以来僕は会社を休みがちになり、食事もほとんどとらず、ミズキに会うために夢ばかりを見ていた。

夢の中でも、ミズキと一緒にいるだけで僕は幸せだった。

『ケイゴ…最近会社休みがちだよね?』

『良いんですよ、僕はミズキさんの傍にいたいから』

『その気持ちは凄く嬉しいけど、でも…』

『でも…何ですか?』

『ううん、何でもない…』

そう言って夢の中のミズキは微笑んだ。
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