夢からなるキミへ

『…そうですか?』

僕は無気力なままぼーっとしていた。

『何かあったのか?悲しげな表情をしてたが…』

ホスト風の男は僕に尋ねた。

『彼女を…大切な彼女を失くしたんです…』

僕がそう言うと、ホスト風の男は雲一つない青空を黙って見上げた。

『彼女は僕にとって…世界で１番大切な人でした。いつも彼女は笑ってて…そんな笑顔が大好きで…僕は、好きな人のためなら何だって出来ると思ってました。でも好きな人の…命を救うことが僕には出来なかった。人間はなんて無力なんですか?』

僕は空に浮かぶ太陽が、まるでミズキの笑顔のように眩しくて涙が零れた。

『どんなに好きでも…どんなに彼女の名前を呼んでも…彼女はどこにもいなくて…彼女を思えば、枯れることのない涙がどんどん溢れて来るんです…』

ホスト風の男はただ僕の話をじっと黙って聞いていた。

『そんな僕の前に夢からなる彼女が現れました…』