たった1つだけ
気づいたら言ってた。
ちょっとだけ振り返る翔。
「じゃーな、加藤サン。」
って言ってくれた。
私はただただ翔を見るだけで…。
なんなんだろうこの気持ち。
なんなんだ山田翔。
その日1日はそのことで頭がいっぱい。
「どーしたの、笑?」
何度も笑に聞かれる。
それでも、
『なんでもないよーっ!!』
って答える。
まだ恋だなんてわからない。
だからひかりに言うのはもう少し気持ちの整理がついてから。
『山田…翔かぁ。』
教室の窓から外を覗きながら胸を弾ませた。