たった1つだけ
それから夏休みまで何度か洋とひかりと話をした。
そして着々と夏休みは迫っていた。
動きだそうとした恋は
やはり動けずにそのままでいた。
『暑くなってきたねー』
「部活のやりがいがあるでしょ?」
そんなときのきっかけだった。
いつもより部活が早く終わった日、
私たちは洋と話す約束でサッカー部が終わるのを待っていた。
気づけばいつしか翔を目で追っていた。
なんか見てて飽きないんだよね…。
サッカー部も終わりに近づいたころ、
私はのどが乾き自販機に向かった。
「私にも買ってきて」
そんなひかりの声に軽く返事をして歩きだす。
ちょうど部活の終わったサッカー部も反対から歩いてくる。