たった1つだけ
「今は…いないかな。」
今は…
って前はいたってことだよね?
『へー…』
またしても微妙な空気。
よくよく考えてみたら私と翔は会ったのが3回。
ちゃんと話したのって今日が初めてじゃない?
『なんかはっきり言って、この状況おかしいよね…』
「確かにな。加藤とか存在知らなかったしな。」
『うわっ、ひどい!!』
とか言いながら、翔の笑った顔を覗く。
『あ、あのさー』
勇気だせ自分。
『アド教えてくれないっ?』
「赤外線でいい?」
『大丈夫っ!!』
すぐさま携帯を取り出す。
「俺送るよ」
『あぁ、うんっ』
"山田翔"
登録完了…っと。
『ありがと…。』
携帯の画面に写る3つの文字を見て
顔が火照っているのを感じる。