たった1つだけ
第1章
高校生
「ちょっと笑、聞いてるの?」
『えっ、あぁ聞いてる。聞いてる!!』
加藤笑―カトウエミ
この春より高校生になったばかりの
高校1年生。
もう入学して2ヵ月、6月の梅雨時。
『で、なんだっけ?』
「もう、結局聞いてなかったんでしょーっ」
『ごめんっごめんっ!』
この子は中学からの親友、紺野ひかり。
ちょっと大人っぽいオーラで、
ストレートロングの髪はよく映える。
そして同じ陸上部。
「だからね、梅雨入っちゃって外じゃあんまり練習できないから今日は体育館でやるって先生が。」
『そーでした、そーでした』
陸上部…というか外部活にとっては
梅雨はかなりの強敵。
グラウンドが使えない日が続く日々。