涙が枯れるその日まで
私は立ち上がって、陸くんの方を向き、また座った。

私「陸くん頭撫でて?」

陸「ん?いいよ。おいで」

私は陸くんの腕の中に収まった。

強く抱きしめられ、頭を撫でられる。

私はこうしてもらうのが好きだった。

私から見た陸くんは大人で、いつでも優しく見守ってくれる。

私が悩んでいる時は、私の為になることを考えてくれる。

これもそのひとつ。



私は親に抱きしめてもらった記憶がない。

小さい頃は抱きしめてもらっていただろう。

でも記憶として残っているのは、怒られていることばかりだった。

そんなに悪ガキだったわけじゃない。

親の思った通りに行動しないと怒られる。

親に褒められた記憶なんてない。

私は親の操り人形を演じることしかできなかった。

だからだと思う。

抱きしめられると落ち着くの。

陸くんはそのことを知っているから、よく抱きしめてくれた。
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