涙が枯れるその日まで
そんな矢先、祐司のお父さんが亡くなった。

仕事中にいきなり倒れて救急車で運ばれたらしい。


祐司はお父さんのことを尊敬していた。

祐司のお父さんはかなり男らしくて、何があっても動じないような人だった。

柔道を高校からずっとやっていたから体格も良くて、健康そのものに見えたのに…

祐司に倒れたって連絡が来た時、一緒にいた私は病院までついて行く事になった。

しかし私達が着いた時には、もう息を引き取っていた。

安らかに眠る祐司のお父さんは、優しく微笑んでいるように見えた。

その時、初めて祐司の涙を見た。

私ですら涙が止まらなかった。
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