涙が枯れるその日まで
日常
夏休みが終わる頃には、涼の家族が引越していった。

学校が始まり、日常が戻ってきた。

祐司は相変わらず私の送り迎えをしてくれた。

祐司もお父さんと浩さんの死に動揺を隠せずにいたが、落ち着きを取り戻してきていた。


10月に入った頃、久しぶりに陸くんが迎えにきてくれた。

私「治ったんだね」

陸「ん?ああ。たいしたことなかったからな」

私「それならよかった」

陸「心配かけて悪かったな」

私「ううん。生きててくれてよかった…」

陸「俺さ、兄貴がずっとうざかったんだよ。でもいなくなると寂しいもんだよな…」

私「陸くん、我慢してる?」

陸「何を?」

私「あの時陸くん泣いてなかった。てか、涙目だったから必死に堪えてたんでしょ?陸くんと浩さんは一番仲良しだっておばさんに聞いたことあるもん」

陸「ばーか。泣かねえよ。男は泣いちゃいけねえんだよ」

私「泣いてもいいじゃん。陸くんの性格なら泣かないだろうなって思ったけど、泣いてもいい時だってあるよ?」
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