涙が枯れるその日まで
祐司が帰った後、私は一人で川を眺めていた。

すると後ろで車の音が聞こえた。

振り返ると、そこには涼がいた。


待ち合わせなんてしていないし、まだ連絡すらしていない。

本当に偶然だった。

車から降り、涼は私の方へ歩いて来た。

話すと決めたはずなのに、いざ涼の姿を見ると震えが止まらなかった。


涼「久しぶりだな」

私「…そうだね」

涼「隣いいか?」

私「いいよ」

私がそう言うと、涼は私の隣に座った。

涼「お前何でここにいるんだ?」

私「だってここお気に入りの場所だもん」

涼「こんな寒い時期にこんな寒い所に来るなんて、ただのバカだろ?笑」

私「涼だって来てんじゃん」

涼「俺は毎日ここ来てんだよ。もう日課になっちまった」

私「毎日?なんで?」

涼「懐かしくてな。昔はよくお前と来てたから」

涼がこの場所を覚えていてくれた事が、私はうれしかった。
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