涙が枯れるその日まで
暫くすると公園に着いた。

車を降りようとしたら涼に止められ、自分が巻いていたマフラーを私には巻いてくれた。

車を降りると、涼が手を繋いできた。

なんだか恥ずかしかった。


一度は私は涼を振った。
涼への気持ちは恋愛感情ではないと思ったから。
涼がいるのが当たり前過ぎて、涼の大切さに気付いていなかったんだと思う。
でも、涼に何をされても嫌いにはなれなかった。
涼が妊娠した子と結婚すると聞いた時、筋を通したんだって安心した反面、ショックで泣いた自分勝手な私がいた。
でも今更涼の事が好きだなんて言えるはずなくて、ずっと認めなかったんだ。
だから涼が心を入れ替えてくれた事、まだ好きでいてくれた事がうれしかった。
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