涙が枯れるその日まで
涼が死ぬはずない。

私はただそう呟き続け、放心状態だった。


少しすると、玄関のドアが開く音がした。

陸「ただいま。腹減ったー」

陸くんは私がいる部屋のドアを開けながら言った。

そして、明らかにおかしい私に気付いた。

陸「みぃこどうした?」

私は焦点が定まらず、放心状態のままだった。

陸くんは私の前に来て、肩を掴んで揺らした。

陸「おい!みぃこ!」

私「あ、陸くんおかえり。今ご飯温めるね」

私が立ち上がると、陸くんに腕を掴まれた。

陸「みぃこどうした?変だぞ?」

私「え?なんでもないよ。さっき奈々さんから電話来たんだけど、笑えない冗談だったからムカついただけ」

陸「奈々?何言ったんだ?」

私「涼が死んだとか言い出したんだよ?意味わかんないし」

陸「…それ本当に冗談か?」

私「冗談に決まってるでしょ?あのバカが簡単に死ぬわけないっての」

陸くんは電話を掛け始めた。

陸「もしもし?奈々?みぃこに言った事本当なのか?……ああ……そうか。わかった。今すぐみぃこ連れてくわ」

陸くんは電話を切ると、私の腕を掴んだ。
< 287 / 301 >

この作品をシェア

pagetop