六花の騎士
確かに、ミーヤは怒りに震えていた
しかし、試合という神聖な物事に油断はなかったし、するつもりもなかった
慎重にティアの出方を見て突っ込んでいったのに…………
ティアは、自分の間合いに入ってきた剣を自分の剣の切っ先で軌道をずらした
極最小限に軌道をずらしたのだ
そのまま体勢を崩したミーヤの手に殴打をくらわせた
ミーヤは、たたらを踏んでよろめいたがなんとかこらえたが、ティアは体勢を入れ替えるようにしてミーヤの背後をとった
その流れるような試合にその場が静まり返る
「一本です……」
ティアの声がやけに響く
ミーヤは背中に汗を感じた
見開いた瞳を固く閉じてうつむく
その拍子に、腰まである真っ直ぐな黒髪が頬に落ちてきた