六花の騎士
揺られている
瞳を押し上げるのに時間がかかる
口は布を詰め込まれているようだった
鼻で息を吸うと濃い闇の匂いがした
誰かに抱えられていたが、体か上手く動かない
おそらく気絶させられたからだろう
ぼんやりとする頭を必死に動かす
(……コイツは誰だ?……どうして俺を……)
黒衣の男は、立ち止まった
明かりが灯してある
そこから男の声がした
「よくやったな、レイブン」
他にも数人いるようで、おそらく自分を見て、小さく歓声を上げた
レイブンと呼ばれたのは黒衣の男
「いえ、警備が手薄だったもので」
土の上に横たえられ、髪をつままれた