六花の騎士



揺られている


瞳を押し上げるのに時間がかかる
口は布を詰め込まれているようだった
鼻で息を吸うと濃い闇の匂いがした
誰かに抱えられていたが、体か上手く動かない
おそらく気絶させられたからだろう
ぼんやりとする頭を必死に動かす


(……コイツは誰だ?……どうして俺を……)


黒衣の男は、立ち止まった
明かりが灯してある
そこから男の声がした


「よくやったな、レイブン」


他にも数人いるようで、おそらく自分を見て、小さく歓声を上げた
レイブンと呼ばれたのは黒衣の男


「いえ、警備が手薄だったもので」


土の上に横たえられ、髪をつままれた






< 153 / 364 >

この作品をシェア

pagetop