六花の騎士
なんとなく寝付けなくてまた部屋を抜け出した
だが今度は、ティアの護衛付で
教会に行くと人の気配がするとティアが言った
「これは…トーワ様ではないかと」
「えっ……気配で誰か分かるの?」
「多少は」
ふーん、と呟いてからメノリはティアに言った
「ティアはここにいて?」
突然の発言にキョトンとした表情が少し面白い
「ちょっと話してくるだけだから」
クスリと笑って扉に駆け寄る
ティアは許してくれたのか何も言わなかった
扉を開くと本当にトーワがいた
空を見上げる様にして微動だにしない
列の崩れた長椅子に腰掛けている
気付く様子がなかったのでゆっくりと近寄った
声をかければ、驚いたように振り返る
翡翠の瞳と視線がぶつかった