六花の騎士
「……私……王族がこんなに恨まれてること知らなかった……」
隣の少女はポツリと呟いた
長椅子に華奢な身体をあずけて、メノリは窓からもれる月明かりを見つめている様だった
「……王族がじゃない………俺がだ」
「………」
押し黙るメノリにかまわずトーワは続けた
「お前は知らないかもしれないが、俺は多くの民を殺してる」
パッと驚いたようにメノリがこちら向いた
大きな碧い瞳と向かい合う
どうせ後で分かる事だ
今、ここで話した所で何も変わらない
そう思い、トーワは薄く笑う
「他の王族は民に施しを与えるのが役目だが、俺は罰を与えるのが役目なんだよ」
メノリは戸惑う様に見つめ返してくる
「………罰?」
「炎は浄化を意味してる。大罪を犯したものを裁く。それが………業火の名を持つ俺の役目だ」