六花の騎士



その儚げな容貌に凛とした怒気が浮かぶ
眉を吊り上げて、トーワを睨み据えた


「……何でそんなこと言うの……」


「…………」

「あんたが昔何したかなんて知らないわ……けどねソレを全部抱え込んで、独りで………耐えないでよ」



怒りながら、声音は震える
メノリは長椅子から立ち上がる
涙を堪える様にきつく結ばれた唇
トーワを見下ろす形になって、肩からこぼれる紅の髪



「私……王族の事とか……あんまり分かんないけど」


月明かりに照らされて、揺れる瞳が見える



「貴方だけが悪いわけじゃない………そうでしょ?」


サラは、……嘘だったかもしれない……それでも王族であるメノリに微笑みかけてくれた少女は、王族自体を深く憎んでいた



「違う!!」






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