六花の騎士



「……独りぼっちで泣かないで………」


揺れる瞳
しかし、毅然とメノリは言う



「……でないと、何の為に私達がいるのよ………!」
「…………」

「ちょっとくらい、その荷物分けなさいよ!…………お前には分かんない、とか言わないでよね……同じ目線に立てる人は……同じ王族だけなんじゃないの………?」




メノリは王族になったその日から、今まで親しくしてくれた人達との間に大きな隔たりを感じていた


メノリ自身が変わった訳ではない
周りがメノリを同じ人間として見ていなかったのだ



王族とは神の子だから……


「貴方の背負うものが………どんなに……罪深いものでも………」


どれだけ大きなものでも



「私が許すわ………」



トーワの肩がピクリと反応する
くしゃりと泣き笑いのようにメノリは笑った


「……自分勝手な言い分でしょ……?でも……貴方はもう、十分に罰を受けてる……」


だから……
もう、独りぼっちで泣かないで………?



メノリの言葉が月夜に溶けた






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