六花の騎士
メノリはじっとトーワを見つめ続けた
トーワは、いつもの憮然とした表情ではなく、だだ茫然とうつむいている
すると、ゆっくりと戸惑う様にトーワが顔を上げた
哀しげな表情がそこにはあった
「………もう………誰も許してはくれないと思ってた………」
どこか、震えるような静かな声音
「………お前はさ……」
不意にのばされたトーワの大きな手のひらは、メノリの頬を包む様にそっと触れた
ドキッと高鳴った鼓動は多分………急に触れたせいだ………ぐるぐるとメノリは考えて自分を落ち着かせる
トーワの手のひらはそれからそっとメノリの首筋を流れる紅いを梳く
そして、泣き笑いの様にトーワは顔を歪めた
「月明かりみたいだな……」