六花の騎士
目の前の騎士、確かティアと言った……
彼女はメノリのそばに腰を下ろした
近すぎず遠すぎないあたりに座る
それは丁度良い距離だった、が
「…………………」
沈黙が落ちる
やっぱり怒っているのかと思い、メノリはおずおずと声をかける
「なっ…なにかよう?」
するとティアはキョトンとした顔をする
「いえ、別に…」
ガクリ、と肩を落とす
「じゃあ、何でここに居るのよ!」
「私の勤めはメノリ様の身辺警護ですから」
淡々と返してくるティアを茫然と見つめる
(……何!この人、変だわ)
まるで感情がポッカリ抜け落ちたているようだ
ティアはメノリを見つめて、思う
(……見た目と真逆だ…)
メノリは儚げな美貌とは逆に活発な少女のようだ
ティア達を怒鳴りつけている姿は幼いながらも凛とした美しさがあった
「……なら帰って…私はそんなの…いらないわ」
突き放したように言う
「何故です?」
その言葉にメノリは、今度は頭に血が昇るのを感じた
ティアをにらみつけ、たまらず叫ぶ
「そんなの決まってるわ!私は……私はこんな所に居たくない、王族なんかじゃないんだから!!」