六花の騎士
雨の夜
「あっ帰ってきた」
ユリアは窓辺に腰を掛けたまま、ネイテル城に帰還した馬車を見ていた
「暴動があったんでしょ」
「ああ、すぐに鎮圧されたけどな」
答えたのはレイド・コルテウス
『雷光の薔薇騎士』だった
レイドもまた窓に手をかけて馬車を覗き込む
「まぁ、死人が出なくてよかったよ」
「………でも、自然すぎる」
「……ユリア……何が言いたい?」
レイドが眉をひそめて言うとユリアはそっぽを向く
レイドはため息をついて、ユリアの少し癖のある真紅の髪を乱暴になでた
「なっなにすんのよ!?」
「お前が煮え切らないからだよ」
抗議の声を止めて、ユリアはうつむく
そのまま黙ってしまったユリアをレイドは複雑に見下ろした