六花の騎士
私は王族なんかじゃない
認めたくはない
認めてしまえばきっと、もうあのなつかしい場所には戻れない
そう思えて、認めることが恐ろしい
「……そうですか」
静かな返答
それは、聞き分けのない子供を仕方なく相手しているように聞こえた
メノリは勢い立ち上がり感情を爆発させた
メノリはまだ十四才になったばかり、王族のとる政務などは全く知らないに等しい
だから、ここの大人はメノリを子供扱いする
「子供扱いしないで!あんた達に、私の何がわかるっていうの!」
その時だった
メノリの紺青のドレスが不自然に浮き立つ
ゴオ、と音を立ててどこからともなく水が出て来た
(もう嫌!!)
硬く瞳を閉ざして、メノリは両手で耳を押さえる
膨れ上がった水の塊が鋭くなってティアを襲う