六花の騎士
メノリが自分の離宮へ戻ると、侍女達が暴動のことを聞いたのだろう、心配した面持ちで労ってくれた
「本当に心配申し上げました……」
「私は大丈夫よ」
苦笑を滲ませ、それでも微笑んでみせた
実際、大変だったのは自分ではないと思う
すると、一度下がったはずのティアが部屋に入ってきた
「メノリ様。大変申し訳ないのですが、これから講義の予定がはいってしまいました」
「えっ!今から?」
「はい」
どうやら今回、講義をしてくれる先生が今からしか都合が合わないそうだ
民族学の権威らしく多忙とのことで、急に決まったことらしい
「せっかくだし、仕方ないわね……」
馬車での移動で疲れてはいたが、メノリは手早く着替えて、ティアを伴い講義室へ向かった