六花の騎士



レイドは飄々とした態度で人をからかう
それは一見軽薄にも見えるが、彼をよく知ればそれが誤りだとわかる


レイドはつぶさにティアを観察する
その構えはスキに見えるが深く読むと危険な匂いがプンプンする
極自然に作られた『わざと』らしいスキだ


レイドは自然と笑う


……面白い


普通に突っ込めばヤバそう
……ケド、俺ならイケる



レイドが地を蹴り真正面からティアを捕らえる
剣と剣がぶつかり火花を散らさんばかりに押し合う

二人の視線が数瞬交じりあった
ティアの紫暗の瞳を覗き込むと同時に、左目に飾られた造花から薔薇の香りが立ち込めた気がした


そう思った瞬間、切っ先を流すようにしてティアはレイドの剣から逃れた





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