六花の騎士



ティアは淡々とレイドを眺めた


(この方は……強い)


これまで対峙した誰よりも強い、そう本能的に感じ取った
張り詰めた空気を破ったのはレイドだった


薄茶の瞳に楽しげな、しかし鋭い光がさす
次の瞬間、真正面からレイドが突っ込んで来た


受け流そうとするが剣は容易く絡め取られる
レイドはものすごい力で押し込んでくる
これでは押し負ける


そう考え、直ぐ様身を屈めレイドの剣を流す
離された切っ先、飛びずさりレイドの脇を狙うがレイドは体を反転させてティアが振りかざした剣を受け止める


レイドが動くたび、彼の背中で一部だけのばして三つ編みにした茶色の髪が鮮やかにしなる


そして、レイドの剣の切っ先がティアの首筋にあてられた



「勝負あり……だな」



ティアの背筋に冷たい汗が伝う
レイドがニッと笑った







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