六花の騎士



ユリアは腰に手をあててティアをしげしげと見つめる


「へ〜、あなたが青薔薇の騎士なんだ」



やや切れ長の瞳を瞬き、ユリアは呟く
無表情のティアは、メノリを抱えて、どうしたものかと考えていると声が聞こえて来た


「ユリア、急にどうしたっていう………」


茂みをかき分け、やって来たのはレイドだった
レイドは一瞬、ポカンとして言った


「………ユリア、お前何かしたのか?」

「何にもしてないわよ」



気絶してティアに抱えられたメノリ
そして、そこに立ったユリア
レイドは軽く疑いの眼差しでユリアを見る


「へぇ〜」

「何その目」


頬を膨らませてユリアは言い返す
そこだけ見れば、先ほどの鋭い眼差しが嘘のように可愛いらしい表情だった



「レイド殿、ユリア様は暴走したメノリ様をお止め下さったんです」



ティアが言うと、レイドは肩をすくめた
だから呼び捨てでいいのになぁ〜、などと言いながら自分の胸くらいの高さしかないユリアの頭をなでる



「そっかそっか、疑って悪かったなユリア様」

「子供扱いしないでよ」



抗議するユリアを苦笑してレイドはティアに向き直る






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