六花の騎士
「お前も大変だったな。その姫さん、部屋で寝かしてやれ、そのうち目さますだろ」
飄々とした態度のレイドはティアの肩を軽く叩く
「はい…」
メノリを抱え、頭一つくらい高いレイドを見上げティアは思った
自己紹介をした時、平民である自分を差別せず接していた
そして、王族であるユリアにもそれは変わらないらしい(呼び捨てにしていたり)
レイドは身分にこだわらない人のようだ
そう思ってから、ティアは思考を止めた
(私は、何を考えている?……そんなことはもう……)
考えてはいけないのに
「では、失礼しました」
短く言って、ティアはメノリの離宮へと立ち去っていった
ユリアは黄金の瞳をティアの立ち去った方へ向ける
「あの子、どう思う?」
「どうって?」
飄々と返すレイドをユリアは軽くにらむ
「『青薔薇の騎士』の噂ぐらい聞いてる。で、そこんとこどうなの、強い?」
見上げる黄金の瞳を見返す
「さあなぁ〜」
頭を掻いて適当に返してくる
周りが見れば、主君にたいする態度ではないがユリアは気にしない
そんなことを気にするほど浅い付き合いではない
「真面目に答えて」
ユリアは、腰に手をあて真正面から見据える
レイドは軽く苦笑して、真剣な眼差しをティアの去った方へ向けた