六花の騎士
雨粒がマリオンもトーワもユリアにも叩きつけるように降り続ける
ユリアはドキッとした
薄く微笑むマリオンが泣いているように見えた
「帰ろう……マリオン」
トーワが感情を抑えた声でいう
「ダメだよ。君達こそ帰りなさい」
「ならマリオンも一緒に帰って」
「……ユリア、聞き分けてくれないか」
「子供扱いしないで!」
どちらも譲らない
ミハエルは馬を降りてマリオンに膝を折る
「王族の方が勝手に遠出されては困ります。一度お戻りになってください」
「なら心配する事はない。許可ならアルメリア様から頂いている」
ユリアは眉根を寄せる
なぜ……アルメリア様が?
雷鳴が聞こえる
マリオンはそれにあわせて迫り来るモノを悟る
(時間がない……)
「トーワ、きっと君は救われる」
トーワは言葉を失う
目を見開いたままマリオンを見つめた
「ユリア……君とのお茶、楽しかったよ」
いつものように
優しく微笑んで
「さよなら」
マリオンは残酷に別れを告げた