六花の騎士



雷鳴を聞きながらアルメリアは温室に置かれたベッドに腰掛ける


クスクスと可笑しそうに笑いながら


「アノコは知っているのかしら?」


誰かに囁くようにアルメリアは呟く



……知っているのかしら?


雷鳴が鳴り響く空
ネイテル城の高台から空を見渡せば、雷光は何かを追い掛けるように光をほとばしらせていた


ユリアの能力は雷
無意識に雷光を引き寄せて、自分の居場所をしらせていたことを彼女は知っていただろうか?



クスクスとアルメリアは嗤う



「……簡単に土砂崩れが起こせたわ」












可愛い可愛い小鳥さんが居場所を教えてくれたから…………


アルメリアは鈴を転がすように歌った






「可愛い小鳥さん、可愛く鳴いて教えてくれる、ここよ、ここよ、私の欲しいものを見つけてくれるの」









悦に入って歌い続けるアルメリアを温室の影に隠れて見ている者がいた



十五歳程の少年
騎士見習いの服装で黒髪に鋭く光る赤い瞳


オーガレスは険しい表情でアルメリアを見ていた









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